教員紹介
首藤 裕一 准教授
博士 (情報科学)
コンピュータ基礎分野 アルゴリズム設計論研究室
主な研究領域
- 分散アルゴリズム
- グラフアルゴリズム
- その他、理論計算機科学全般
[YouTube]首藤研究室紹介動画
研究室の学び
当研究室では、計算機(コンピュータ)にさまざまな問題を解かせるための計算手順であるアルゴリズムを極限まで効率化する研究に取り組んでいます。特に、ネットワークで接続した多数の計算機を協調動作させて共通の問題を解く分散アルゴリズムに関する基礎理論の研究に注力しています。効率的なアルゴリズムを設計することは、パズルを解くような楽しさ・面白さに溢れています。多くの人にとって楽しめる研究だと思いますが、とりわけ数学が好きな学生さんには熱中してもらえるのではないでしょうか。
また、ここ最近、ボードゲームやテレビゲーム(eスポーツ)における強力なCPU(コンピュータプレイヤ)を生み出すことに関心を持つようになりました。この分野については、私自身これから勉強を始めるところですが、興味&熱意のある学生さんには、私と一緒に勉強しながら、ぜひ挑戦してもらいたいです。
社会との接点
効率の良いアルゴリズム、すなわち、実行時間が短く、メモリ使用量の小さいアルゴリズムを設計することは、今日の社会にとって大きな意義を持ちます。普段我々の生活を支えている技術のほとんどは大小含めた計算機の処理に支えられており、それらの計算機の生産性はアルゴリズムの良し悪しによって大きく左右されるからです。アルゴリズムの基礎理論の研究をしていると、アルゴリズムの実行時間を百分の一、千分の一に短縮できたといった経験をよくします。うまくいけば、長期的に見て、社会に非常に大きな貢献ができる研究分野です。皆さんが就職あるいは起業するなどして社会に出た後も、効率の良いアルゴリズムを設計する能力というのは、一流の情報系の技術者として大きな武器になります。学生時代に理論計算機科学の研究に取り組み、こうした力を養うことは、皆さんの将来にとって大きな糧になると信じています。
また、理論計算機科学は、「世の中でどのように役立つか」という工学的観点と別に、学問として純粋に面白いという要素が強い研究分野でもあります。これまで誰も解くことができなかった問題を解くアルゴリズムを考案したり、これまで誰も実現できていない水準の高速なアルゴリズムを設計する、こういった経験は他のものに代えがたい喜びがあり、世界中の多くの研究者が理論計算機科学の研究に没頭しています。当研究室で皆さんと一緒に楽しい研究ができることを心待ちにしています。
主な卒業研究テーマ
直近の指導学生の卒論・修論テーマ(一部抜粋)
- 1-極小独立支配集合を求める反復合成に基づく自己安定アルゴリズム
- 半同期自律移動ロボット群による時間・空間効率の良い分散配置
- 有向リング状の個体群モデルにおける自己安定リーダ選挙プロトコル
- リーダ選挙個体群プロトコルのシミュレーションによる性能比較
- 分裂モバイルエージェントを用いたグラフ探索
- Loosely-Stabilizing Maximal Independent Set Construction with Erroneous Communication
- 反復合成を用いた2-極大独立集合問題を解く自己安定アルゴリズム
- 視野を制限したエージェントの正方格子状ネットワーク上での大域情報を用いない均一配置
- 辺除去からの復旧に優れたモバイルエージェントによる自己安定グラフ探索
- 大域情報を持たない自律移動ロボット群の分散配置アルゴリズム
- 個体間の移動速度差を考慮した個体群モデルにおける収束時間の解析
研究室をもっと知る
【法政の研究ブランドvol.16(動画)】アルゴリズムを極限まで高速化する(情報科学部コンピュータ科学科 首藤 裕一 准教授)(2021年度掲載)