新情報科学部システムについて (edu2011)
法政大学理工系学部・研究科は、2011年4月から4年間運用する、教育・研究活動を情報システムの側面から支援する「新情報教育システム(edu2011)」の稼働を予定しています。edu2011では、「ハードウェア(モノ)からコンテンツ(ソフトウェア・利用支援系サービス・ヒト)重視へ」をキャッチフレーズに、下記に挙げる骨太の方針のもと導入いたします。
- いつでもどこでもICTによる教育・研究活動が可能な環境の提供
- PC、ワークステーション等によるICT教室環境の高度化
- 様々な分野の教育用コンテンツの作成支援および利用支援サービスの強化
- 情報基盤システムの運用構築を担う情報系人材の育成
- 新しいICTの教育・研究活動への実験的利用
情報科学部・情報科学研究科では、情報基盤システムの構築運用による実践的情報通信技術育成の一環として、本学部・研究科の学生(CIS RAT *後述参照)と教員が中心となり、edu2011にて導入されるシステムのうち、情報科学部が利用するシステムである「新情報科学部システム」を独自に設計・構築・運用します。今回導入する新情報科学部システムについて、下記のとおりお知らせいたします。
演習教室環境
特色
本学部・研究科の学生が専用で利用する演習教室である情報ラボ1・2教室にハイエンドワークステーションコンピュータを合計184台導入します。演習教室は、主にソフトウェアプログラミング、ハードウェア回路設計・プログラミング、2D/3Dデザインなどを行う講義で使用します。最新の環境で講義を受講できるよう、豊富な計算機資源を搭載したコンピュータと最新のソフトウェアを導入します。これらの環境は、全講義時間のうち約半数を占める講義で使用しない時間帯と、通常時館内が閉館(平日・土曜: 22:00)するまで自主学習に使用することができます。
クライアントハードウェア環境
- 導入台数: 184台 (情報ラボ1教室: 92台、情報ラボ2教室: 92台)
項目 | 詳細 |
---|---|
モデル | Lenovo ThinkStation E20 |
プロセッサー | Intel Xeon X3450 (2.66GHz 8MB) |
チップセット | Intel 3450 Express Chipset |
メモリ | 16GB (DDR3 4GB x 4) |
ハードディスクドライブ | 300GB (キャッシュ領域として使用) |
グラフィックボード | NVIDIA Quadro FX 580 |
光学ドライブ | 内蔵 スーパーマルチドライブ (CD-R/RW DVD±R対応) |
ネットワークコントローラ | 内蔵 1000BASE-T /100BASE-TX / 10BASE-T |
ディスプレイ | ThinkVision L1711p |
ネットブート環境
情報ラボ1・2教室のクライアントコンピュータ環境は、ネットブート環境としてネットブート社のVHD Professionalを導入します。ネットブート環境により、クライアントコンピュータ起動時に、OS環境を内蔵ハードディスクからではなくネットワーク経由でOS環境を含むイメージファイルを取得・起動します。ネットブート環境を導入することで、日々のセキュリティ維持のためのメンテナンス作業や最新のソフトウェア導入が容易になり、講義に必要となる安全で最新の環境を提供し続けることが可能になります。さらに、夏季キャンパス体験学習や外部公開講座などのイベント時に学外の方が利用する際には、内容に応じた環境を柔軟に提供することが可能になります。
また、画面転送型のシンクライアント環境と違い、各ソフトウェアはローカルコンピュータの計算資源を利用して動作するため、内蔵ハードディスクから起動した場合と遜色のない高速な速度で動作します。
* 今回導入する環境では、クライアントコンピュータにキャッシュ用ハードディスクドライブを搭載します。
教室環境
情報ラボ1・2教室、共通実験室へ、下記の教室環境を導入します。
- 中間モニタ (2席で1台配置、ディジタル出力、共通実験室を除く)
- AV機器 (教員PC・持ち込みノートパソコンの画面配信、DVDプレイヤー、プロジェクタ、音響設備等)
- ノートパソコン用情報コンセント (全席に1ポートずつ配置、ギガビット接続対応)
- Webカメラ2台
ソフトウェア環境
情報ラボ1・2教室のクライアントコンピュータへ下記のソフトウェアを導入します。なお、ソフトウェア環境は現時点で想定しているものであり、2011年4月までに変更される可能性があることをあらかじめご了承ください。
OS (オペレーティングシステム)
- Windows 7 Enterprise with SP1 64-bit (Windows環境)
- CentOS (Linux環境、VMware上での動作)
各種文書作成環境
- Microsoft Office Professional Plus 2010
- Microsoft Office Word 2010
- Microsoft Office Excel 2010
- Microsoft Office Outlook 2010
- Microsoft Office PowerPoint 2010
- Microsoft Office Publisher 2010
- Microsoft Office Access 2010
- Microsoft Office InfoPath 2010
- Microsoft Office OneNote 2010
- Microsoft Office Visio Professional 2010
プログラミング環境
- Visual Studio 2010 Ultimate
- Oracle JDK 1.6.x
- Eclipse 3.x
数値計算環境
- Mathematica 8.x
- MATLAB 2010b
マルチメディア編集環境
- Adobe Creative Suite 5 Master Collection (ラボ1全台のみ)
- Adobe Photoshop CS5 Extended
- Adobe Illustrator CS5
- Adobe InDesign CS5
- Adobe Acrobat 9 Pro
- Adobe Flash Catalyst CS5
- Adobe Flash Professional CS5
- Adobe Flash Builder 4 Standard
- Adobe Dreamweaver CS5
- Adobe Fireworks CS5
- Adobe Contribute CS5
- Adobe Premiere Pro CS5
- Adobe After Effects CS5
- Adobe Soundbooth CS5
- Adobe Creative Suite 5 Web Premium (ラボ2全台のみ)
- Adobe Photoshop CS5 Extended
- Adobe Illustrator CS5
- Adobe Acrobat 9 Pro
- Adobe Flash Catalyst CS5
- Adobe Flash Professional CS5
- Adobe Flash Builder 4 Standard
- Adobe Dreamweaver CS5
- Adobe Fireworks CS5
- Adobe Contribute CS5
- AutoDesk エンターテインメントクリエーションスイート2011
- Autodesk 3ds Max 2011
- Autodesk Maya 2011
- Autodesk Softimage 2011
- Autodesk MotionBuilder 2011
- Autodesk Mudbox 2011
- Autodesk SketchBook Pro 2011
- Microsoft Expression Studio 4
- Microsoft Expression Blend 4
- Microsoft Expression Web 4
- Microsoft Expression Design 4
- Microsoft Expression Encoder 4
- QuickTime Pro 7.x
仮想化環境
- VMware Workstation 7.x
アンチウィルス環境
- Symantec Endpoint Protection 11.x
ハードウェア開発環境
- Quartus II Web Edition 9.x
授業支援環境
- NetSupport School 10.x
その他
- Mozilla Firefox 3.x
- Mozilla Thunderbird 3.x
- その他、各種オープンソースソフトウェア多数
印刷環境
特色
印刷環境として、ICカード搭載学生証に対応したオンデマンドプリンタ環境を導入します。クライアントコンピュータから印刷ジョブを送信すると、学内のどのオンデマンドプリント対応プリンタからでも印刷を行うことができます。プリンタから印刷ジョブを出力する際には、本学のICカード搭載学生証を利用することで印刷ジョブを識別し、必要な印刷ジョブのみを選択して印刷することができます。これにより、用紙補給時に他の利用者が過去に印刷指示して溜まっていた印刷ジョブが印刷されてしまうことを防ぎ、資源の無駄使いを低減します。また、利用者が集中した際に他のプリンタで出力することで出力待ち時間を軽減することができます。
- 情報ラボ1教室: 3台
- 情報ラボ2教室: 3台
- 情報科学部ライブラリ: 2台
上記以外に、出力可能なオンデマンドプリント対応プリンタを小金井キャンパス・市ヶ谷田町キャンパスに計28台導入します。
情報科学部ライブラリ環境
特色
情報科学部・情報科学研究科の学生が自習を行うためのスペースである情報科学部ライブラリに、印刷環境として下記の省スペースコンピュータ2台とオンデマンドプリント対応プリンタを2台導入します。情報ラボ1・2教室が講義で使用できない場合に、この設備を利用して印刷を行ったり、演習室環境のデータを閲覧することができます。
クライアントハードウェア環境
- 導入台数: 2台
項目 | 詳細 |
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モデル | Lenovo ThinkCentre M90 Eco Ultra Small |
プロセッサー | Intel Core i3 i3-530 (2.93GHz 4MB) |
メモリ | 4GB (DDR3 2GB x 2) |
ハードディスクドライブ | 320GB |
グラフィックボード | Intel HD Graphics |
光学ドライブ | 内蔵 スーパーマルチドライブ (CD-R/RW DVD±R対応) |
ネットワークコントローラ | 内蔵 1000BASE-T /100BASE-TX / 10BASE-T |
ディスプレイ | ThinkVision L1711p |
ネットワーク環境
高速なネットワーク環境として、サーバ室と演習室(ラボ1、ラボ2、共通実験室)を10Gbpsで接続します。演習教室内、および、情報情報科学部ライブラリへの接続は1Gbpsで接続されます。また、稼働期間に全サーバ・クライアントのIPv6対応を予定しています。
- Cisco Catalyst 4900M: 4台
- Cisco Catalyst 2960S-48TD-L: 9台
- Cisco Catalyst 2960S-24TD-L: 3台
- Cisco Catalyst 2960G-8TC-L: 3台
サーバ環境
特色
情報科学部・研究科が提供する演習環境向けシステム・外部公開サーバとして、サーバ7台、ブレードシステム1式、SANストレージ1台を導入します。演習環境向けシステムは、認証情報管理・ストレージ環境・ドメインログオン環境・リモート演習環境などを提供します。外部公開サーバは、DNS・Web・メールなどを提供します。
各種サービスサーバ
新情報科学部システムで提供する各種サービスを提供します。物理マシンの台数は4台ですが、実際には仮想化技術としてLinux上で動作するKVM(Kernel-based Virtual Machine)を使用することで、稼働開始時点で仮想マシンを10台動作させます。
- FUJITSU PRIMERGY RX300 S6: 4台
項目 | 詳細 |
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モデル | FUJITSU PRIMERGY RX300 S6 |
プロセッサー | Intel Xeon E5640 (2.66GHz 12MB) |
メモリ | 16GB (DDR3 4GB * 4) |
ハードディスクドライブ | 300GB x 4(RAID 5 + HotSwap x 1) 実容量600GB |
ネットワークコントローラ | 1Gb x 4 + Management LAN x 1 |
OS | 主としてCentOS 64-bit |
ファイルサーバ
ユーザデータ領域を提供します。3台で総利用可能ディスク容量は9TBになります。
- FUJITSU PRIMERGY RX300 S6: 3台
項目 | 詳細 |
---|---|
モデル | FUJITSU PRIMERGY RX300 S6 |
プロセッサー | Intel Xeon E5640 (2.66GHz 12MB) |
メモリ | 16GB (DDR3 4GB * 4) |
ハードディスクドライブ | 300GB x 12(RAID 5 + HotSwap x 1) 実容量3TB |
ネットワークコントローラ | 10Gb x 2 + 1Gb x 2 + Management LAN x 1 |
OS | CentOS 64-bit |
ブレードシステム
ネットブート環境の管理サーバ、ブートサーバ、IOサーバとして使用します。
- FUJITSU PRIMERGY BX600 シャーシ: 1台
- FUJITSU PRIMERGY BX620 S5 サーバブレード: 7枚
項目 | 詳細 |
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モデル | PRIMERGY BX600 シャーシ |
ファイバーチャネルスイッチブレー | PRIMERGY BX600ファイバーチャネルスイッチブレード(4Gbps) (内部8ポート、外部4ポート) x 2 |
サーバブレード | FUJITSU PRIMERGY BX620 S5 サーバブレード |
プロセッサー | Intel Xeon E5502 (1.86GHz 4MB) |
メモリ | 4GB (DDR3) |
ハードディスクドライブ | 300GB |
OS | Windows Server 2008 R2 |
SANストレージ
ブレードシステムのディスクアレイとして使用します。
- FUJITSU ETERNUS DX80: 1台
- ディスク: 600GB x 12(RAID 5 + HotSwap x 1) + 1000GB x 12 (RAID 5 + HotSwap x 1)
- ファイバーチャネル: 4Gbps x 4ポート
役割分担
新情報科学部システムは、下記の役割分担を基本とし、本学学生・本学教職員・納入業者が綿密に連携・協力して導入します。
学生
CIS RAT
- ネットワークスイッチ 設計・設定・運用
- サーバ環境 設計・構築・運用
- クライアント環境 設計・構築・運用
- 障害時1次切り分け
教職員
小金井情報センター、情報科学部専任教員、小金井事務部学務課情報科学部担当
- 全体統括
- 導入事務手続き
納入業者
株式会社内田洋行
- 提案
- 機材設置
- ネットワーク配線工事
- 電源工事
- edu2011連携部分の導入支援 (ネットワークスイッチ、オンデマンドプリント環境、ICカード連携など)
- 商用製品の導入支援 (ネットブート環境)
- 機器保守対応
RAT とは
CIS RAT (Resource Administration Team) は、2001年4月に情報ラボ教室の利便性やセキュリティの向上を考えた本学部1期生(当時学部2年生)の有志によって結成された学生有志によるチームです。活動の中心は教育・研究等に使用されるコンピュータシステム環境の提供であり、それに関わるサーバ、クライアントコンピュータ、およびネットワークの仕様策定・構築・運用・保守を行っています。毎年新しいメンバーを迎え入れながら、情報科学部をより魅力的にすることを目指し、技術の継承と新しいサービスの展開を積極的に進めています。
これまで過去2回行われた情報科学部システムの更新時においても、RATの学生が中心となり導入を行っています。また、毎年の貸与ノートパソコンのマスタイメージ環境もRATの学生が構築しています。
- 参考情報: CIS RATとは