「UBICOMM 2009 BEST PAPER AWARD」を受賞
本学大学院生の山野 貴一郎氏が「UBICOMM 2009 BEST PAPER AWARD」を受賞
受賞した 山野 貴一郎 氏
本学大学院生の山野 貴一郎(やまの きいちろう)氏が、マルタ共和国で開催された国際会議UBICOMM 2009にて研究報告した論文「Browsing Audio Life-log Data Using Acoustic and Location Information」が、「UBICOMM 2009 BEST PAPER AWARD」を受賞しました。
本論文は、日常の行動を全て記録し、それを活用する手法を研究するライフログに関する研究分野で、特に、音情報を活用することを提案した内容です。ウェアラブルなマイクロホンで実際に日常での音情報を収録し、それらの分析を行い、それらの音から自動的に場所を推定する手法について報告しました。
International Conference on Mobile Ubiquitous Computing, Systems, Services and Technologies (Ubicomm) は,The International Academy, Research and Industry Association(IARIA)が主催する、ユビキタスコンピューティングシステムのアーキテクチャやサービス,アプリケーションに関する国際会議です。発表件数は57件、採択率は32%、受賞件数は9件でした。本会議の論文集はIEEE Computer Societyより出版されています。
受賞情報
- 受賞年月日
- 2009年11月10日
- 受賞論文タイトル
- Browsing Audio Life-log Data Using Acoustic and Location Information
- 著者氏名
- 山野 貴一郎 (情報科学研究科修士2年・伊藤研究室), 伊藤 克亘 (情報科学部、情報科学研究科教授)
- 会議名
- UBICOMM09
受賞論文の内容
個人の生活や体験をカメラ、マイク、GPSといった様々なセンサで常に記録をして利用するための研究が行われています。この常時記録されたデータのことをライフログと呼び、様々な利用方法が提案されています。
私はウェアラブルなマイクで常時収録をした音情報を音響ライフログと呼び、その利用について研究をしています。音響ライフログには日常生活で遭遇する様々な音か収録されていますが、本研究では特に有用である音声情報に着目しています。最終的な目標は音響ライフログ中に含まれる音声に話者、録音された場所、時間のタグを付与し検索可能な音声メモを作成することです。
本論文では音情報とGPSで取得した位置情報を用いて、音響ライフログの録音された場所を自動分類する手法について提案をしました。GPSでは「大学にいる」というような大まかな場所の特定は可能ですが、「研究室」や「教室」という屋内の場所の分類はできません。そこで、同じ場所の背景音が常に似ていることを利用し、屋内での場所の自動分類を行いました。
収録機材
音響ライフログのブラウジングシステム
音響情報のスペクトル
GPSによる場所の推定
山野氏による受賞の感想
ライフログに関する研究には情報科学部の4年生の時から取り組んでおり、それがこのような形で評価され大変嬉しく思っています。しかし、発表した論文は研究の目標である音響ライフログへのタグ付けの一部についての内容で、まだまだ着手できていないことがあるので、今回頂いた賞を励みに頑張っていきます。
また、今回の賞は指導教官の伊藤教授をはじめとした研究に協力や助言をしてくださった皆様のおかげで受賞できたと思っており、ここに感謝の意を表します。
会議は地中海にあるマルタ共和国で2009年10月に開催されました。ユビキタスコンピューティング分野に関する様々な発表が行われ、活発に議論が行われていました。私の発表に対してもいくつか質問や意見を頂いたので今後の参考にしたいと思っています。