天才プログラマー/スーパークリエータに認定される 荒川傑氏

18名の天才プログラマー/スーパークリエータに本学大学院修了生の荒川傑氏が認定されました!

本学大学院修了生 荒川 傑(あらかわ すぐる)氏が、2007年度第2期「未踏ソフトウェア創造事業」において天才プログラマー/スーパークリエータに認定されました(2008年5月1日発表)。

「未踏ソフトウェア創造事業」は経済産業省所管の独立行政法人、情報処理推進機構(IPA)が実施している事業で、次世代のIT市場創出を担う独創性と優れた能力を持つ人材を積極的に発掘するとともに、彼らが開発に専念できる環境を整備し、新市場を切り拓くソフトウェアの開発支援を目的として、2000年度から実施しているものです。

2007年度第2期「未踏ソフトウェア創造事業」では、応募総数237件の中から荒川氏のプロジュクトを含む30件のプロジェクトが採択されています。2007年度第1期、第2期「未踏ソフトウェア創造事業」及び「未踏ユース」に採択された93件(150人)の開発者の中から、さらに審議委員会の審査を経て、18名が天才プログラマー/スーパークリエータに認定されました。

この認定により、荒川氏には次世代の日本IT産業界を担う研究者として、ますます注目を浴びる存在になります。
 荒川氏は、2005年3月に本学情報科学部コンピュータ科学科を卒業、同年4月に本学大学院情報科学研究科修士課程に進学、2007年3月に修了しています。
 採択プロジェクトのテーマおよび荒川氏の感想を紹介いたします。

プロジェクトのテーマ

  • 開発現場の「掟」を代行するJavaコンパイラIrenkaの開発

プロジェクトの内容

ソフトウェアの開発現場にはルール(掟)があり、そんなルールを各自が守ることによってプロジェクトは円滑に遂行されていきます。たとえば、プログラミングの作法、ドキュメントの書き方、テストの方法など、グループでの開発にはさまざまなルールが用意されることになります。しかし、各自のルール習得や履行、プロジェクト管理者によるルールの監視などのために長い時間を割くのは少し無駄な気がします。
 そこで、Irenkaはソフトウェアの開発現場に潜り込んでルールの履行や監視を自動的に代行します。たとえば、ルールを守っていないプログラムを自動的に書き換えて、いつの間にかルールを守っているプログラムを作ったり、ルールをあまりに無視する開発者に自動的にメールを送ったり、といった感じです。
 このIrenkaという名前は、アイヌ語で「法律」という意味を持っています。その名前のとおり、Irenkaは開発現場に守るべきルールを提供し、その番人として開発現場を健全なものにします。

荒川氏による認定についての感想

Irenkaは法政大学大学院の修士課程1年の頃より構想のあったプロジェクトで、修了後すぐに本格的な開発をはじめ、2007年7月より未踏ソフトウェア創造事業に採択いただいて開発を行いました。8ヶ月弱という期間で全力を尽くし、その活動が評価されたことは大変うれしく思います。

今回は「開発現場の「掟」を代行するJavaコンパイラIrenkaの開発」というテーマで採択いただきましたが、このソフトウェアはコンパイラの技術だけでなく、仮想マシン、並列計算、人工知能など、大学時代に習得した様々な要素技術をふんだんに取り込みました。その点で今回のプロジェクトマネージャからも、実用性や実装能力といった基礎的な部分を中心にご評価いただいています。ここに、そのような能力を伸ばしてくださった法政大学情報科学部教員の皆様に感謝の意を表します。

また、Irenkaの開発プロジェクトを含むオープンソースソフトウェアコミュニティ「The Ashikunep Kotan」は、法政大学情報科学部のサポートを受けて運営しています。Irenkaの完成度はまだ60%といったところで、すこしずつ完成に近付けられるように頑張っていきたいと思います。