GRE(Graduate Record Examination)の講評 (2011年1月実施)

2010年2月10日
大森 健児 教授

2011年1月29日(土)にGREを行った。応募者は91名(3年28名、2年52名、1年11名)、風邪などが原因で欠席した者が14名(3年8名、2年5名、1年1名)あった。このため、受験者は77名(3年20名、2年47名、1年10名)となった。受験者の数は、奇しくも昨年と同数であったが、昨年は3年47名、2年19名、1年11名であった。2年生と3年生が丁度入れ替わった数字になっており、今年は2年生の受験者数が多かったのが特徴であった。昨今の就職活動の厳しさを反映して、早めに資格を取っておきたいという要求が2年生の受験者数の増加に繋がったようである。

GREは、米国での大学院進学希望者に課せられた試験である。英語と専門科目からなっているが、今回の試験では、Computer Scienceの科目について試験を行った。出題の範囲は、ACMが定めているカリキュラムのCS(Computer Science)分野(情報処理学会のJ07で定めているCSの分野とほぼ一致)である。従って、3年生は、ほとんどの教科について学んでいるため、米国の受験生と同程度の成績をあげることが期待される。他方で、1年生、2年生は多くの科目を学んでいないため、学習していないことへの挑戦となる。

成績は、素点とスケール化された得点からなる。素点は、正解をマークした場合には1点が与えられ、間違った答えをマークした場合は-0.25点となる。従って、最高点は70点だが、間違った答えをたくさんマークした場合にはマイナスになることもある。

今回の試験結果は、次のようになっていた。最高点が22点、最低点が-3点であった。

全体平均分布図
素点 受験者数
25以上 0
21 – 25 2
16 – 20 2
11 – 15 5
6 – 10 25
5以下 43

この素点は、日本で使われている偏差値と同様に、何パーセントの人が下位に含まれているかによって、スケール化された得点に変換される。今回の問題はGREを模したものであるため、通常のGREのように、スケール化された得点に忠実に変換することはできないが、GREのホームページに掲載されている例題では、素点とスケール化された得点との関係は次のようになっている。

素点 スケール化された得点 %
50 or above 860 – 900 95 – 99
40 – 49 810 – 850 82 – 94
30 – 39 740 – 800 55 – 81
20 – 29 660 – 730 28 – 54
10 – 19 570 – 650 8 – 27
9 以下 500 – 560 8未満

この表からわかることは、米国でのコンピュータ科学科への大学院進学希望者で、真ん中に位置する学生は28点ぐらいと予想される。英語で記述されているというハンディーを考えても、また、今回の問題が例題よりも難しい可能性が残されているが、3年生は25点以上の得点を挙げて欲しいと思っている。今回は、残念ながらこの得点を超えた学生は皆無であった。ちなみに昨年度は3名であった。

また、全体と学年別の平均点は以下の棒グラフのようである。学年間の差があまり見られないことが特徴になっているが、これは、学年が高くなっても、あまり、知識が増えてないことを示しているので、高学年の学生にはもう一踏ん張りして欲しい。

学年別平均グラフ

この試験での成績優秀者は大学院への推薦入学の資格を得ることができる。通常、GREでの中位点を基準としている。前回は初めてということもあって、24点以上の受験者に推薦入学を与えたが、今年は、残念ながら、該当者は皆無であった。

関連ページ